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質的評価と量的評価

質的評価と量的評価

ICTが直面している課題
(1)手指衛生の遵守率が改善しない
(2)アルコールゲル (AHR) 使用量が増加しない
いろんな努力をしても改善しない。なぜか???

1)手指衛生の質的評価と量的評価について

A)質的評価法

正しい手指衛生とは、正しいテクニックが、正しい場面(図1)で行われていることを意味する。これを評価するためには、直接観察による手指衛生の監査が最適である。
観察は、図2の評価シートを用いて行う。又は手指衛生観察iPadアプリを使用すればより簡単に確認が可能。

B)量的評価法

上記監査では、ICTによる監視効果のため、通常より手指衛生の遵守率は高くなる。もしアルコールゲル消費量(AHR)のモニタリングを行えば、日常診療における遵守状態を間接的に評価できる。ただしテクニックや実施場面の正しさについての評価はできない。

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図1. 手指衛生が必要な5つの場面
(World Health Organization: WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care2009より一部改編)

2)質的評価を用いて解決できる課題

単にキャンペーンをするだけでは、手指衛生の機会が万遍なく増加するだけなので、キャンペーン終了後には元のレベルに戻ってしまう。そこで図2の観察シートなどを用いて5つの場面ごとの遵守率をみれば、どの場面で手指衛生ができていないのかが評価でき、具体的な改善ポイントを示すことができる。例えば、2.清潔操作の前に遵守率が低ければ、そこを自覚させ重点的に改善を促せば、恒常的な改善が図れるのである。またテクニックが正しくなければ、水平伝播防止の効果が不十分となるので、蛍光塗料を用いた手指衛生実習を行うべきである。

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図2. 手洗いオーディット観察シート

3)量的評価の計算方法

ケアに当たる患者さんの数を滞在日数で割って、共通の数字として計算すると病院・病棟同士の比較が出来ます。そこでよく用いられるのは、1日1,000ベッド当たりのアルコール消毒剤使用量です。
1日1000ベッド当たりの手指衛生剤使用量は、
患者あたりの使用量(mL/人)/1000(L) x 1000(ベッド)
で計算できます。

4)量的評価を用いて解決できる課題

手指衛生が適切に行われている環境とは、感染症の有無に関わらず、(ICTが見ていない時でも)日常的に手指衛生が実施されている状態を意味する。そこで部署ごとに、最低限の日常診療を行った場合に必要なアルコールゲル所要量を目標値として設定し、消費量の達成度をフィードバックするべきである。それにより、改善を促す客観的な機会ができ、継続的な働きかけが可能になるのである。