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感染症トピックス

VAPとアシネトバクターバウマニ感染症

カテゴリー:医療関連感染(HAI)

2015/04/14

インフェクションコントロール誌(メディカ出版)の2015年5月号はデバイス感染の特集でしたが、特集の冒頭で東京大学の藤田烈先生が世界各国のデバイス関連感染症発生数を比較したデータを示しておられました。
 日本は他国と比べて、院内感染コントロールが良くできている国だと認識していましたが、VAP (ventilator associated pneumonia) は米国と比較して多いという数字が印象的でした。
日本でVAPが問題だとすると、気になるのはアシネトバクター バウマニです。この感染症はほとんどが人工呼吸器関連で発生しています。

この細菌は病原性が低いためそれほど大きな問題とはならないだろうというのが、これまで多く言われてきたことでしたが、2015年3月29日に公開された下記の論文で、超多剤耐性(XDR)でかつ病原性の高いクレード(遺伝型)が見つかったことが報告されました。この菌はアメリカで起きたアウトブレークの死亡者から分離されました。
アシネトバクターバウマニの病原性に関連した研究にこれまで用いられてきた菌株は、分離された患者の臨床情報が不十分で、実はこれまで実際の病態と関連させた研究がそれほどできてこなかったのだということも、この論文で初めて知りました。
このクレードはPCRでしか今のところ区別できず、鑑別診断には技術が必要だということです。

著作権の関係で詳しくご紹介できませんが、下記がアクセスサイトですのでご覧いただければと思います。
A Fatal Outbreak of an Emerging Clone of Extensively Drug-Resistant Acinetobacter baumannii with Enhanced Virulence
Crystal L. Jones
Clin Infect Dis. (2015) First published online: March 29, 2015

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