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感染症トピックス

MERS – 韓国で院内感染

カテゴリー:医療関連感染(HAI)

2015/06/02

 本欄3月24日の記事では、中東呼吸器症候群 MERS は、世界的流行になる性質のものでは今のところはなく、それほど心配することはなさそうだという記事を掲載しました。この性質が変化したという報告はありませんが、一人の感染者から大きな院内アウトブレークに発展した事例が韓国で起きています。さらに、患者を見舞った人が中国に帰国して発症が確認されるなど、周辺国にも不安が広がっています。

 韓国の例は、中東数か国を旅行して帰国した44歳男性が、5月11日にMERSを発症して入院したことが発端となります。この後この男性と同じ病棟に入院していた患者、それら患者を見舞った家族、そして外来や入院時に担当した医療者合計25人(6月2日現在)がMERSに感染・発症したということです(WHO公式発表以外の情報も含まれる)。二次感染者の家族のうち一人が見舞い後飛行機で中国に帰国しましたが、出発時にすでに症状が見られたため(移動を止められていた)、旅行中に接触した人たちが監視下にあります。
 一人のインデックスケースから25人に広がっていることも重大ですが、同じ病棟に入院していた結核患者さんがその後退院し別の数か所の病院を訪れたことが分かっており、今後さらに広がっていくことがないことを祈るばかりです。

 公式的にはまだMERSは、ヒト-ヒト感染を起こしやすいとは思われない、となっていますが、濃厚接触者が多数感染していることは事実としてありますので、日本の医療機関におかれましても中東・韓国から帰国した肺炎症状の患者さんには気を付けて頂きたいと思います。
(参考:Korean MERS total surges to 25 cases, 2 deaths(CIDRAP, Jun01)WHO Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Republic of Korea Jun01

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